「パラサイト 半地下の家族」感想ブログ

2019年 韓国のブラック・コメディスリラー映画 上映時間132分 満足度☆7

お疲れ様です!

今回、ご紹介する物語は第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルム・ドールの受賞と第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した栄えある映画

「パラサイト 半地下の家族」です。

この作品、韓国映画史上最高の興行収入を記録してるそうで、2019年には大ヒットしてましたね。

それを6年の熟成を経て鑑賞しました。(*’ω’*)

近所の住民が立ちションベンをする姿を見せられながら過ごす様な半地下の低所得者住宅に住む全員無職の家族が、少しづつ富裕層へジワジワと寄生していく様はまさにパラサイト

中盤辺りまでは、富裕層の家庭に詐欺まがいの手法で家族全員が雇われていくという話

中盤から先は不穏な空気を纏った展開へと発展していきます(;´Д`)

映画を観ていて、1時間経過するのがすごく早く引きこまれて観ていたんだなぁと感じました。

結構内容的には重い話なのに、出てくるキャラクターが何か皆間が抜けてる感じで憎めずシリアスな印象をあまり感じさせない。それでいて、ちゃんとクライマックスにかけてスリラーの要素も入ってきて感情をごちゃまぜにされる展開でした!(*´з`)

そこがブラックコメディ/スリラーとジャンル分けされている由縁だと思います。

タイトルの名前やジャンル、そして観客を飽きさせない展開だったり最後のオチを観客に考えさせるラストにした所など。最後まで、ポン・ジュノ監督によって緻密に練り込まれた映画になっています。

一度は観ておいて損はない映画だと思いますので、皆さんも・・・

それでは紹介していきます!

目次

1,目次

2,概要

3,登場人物

4,あらすじ

5,感想

概要

原作・監督:ポン・ジュノ 

脚本:ポン・ジュノ ハン・ジンウォン

製作:クァク・シネ ムン・ヤングォン ポン・ジュノ チャン・ヨンファン

音楽:チョン・ジェイル 撮影:ホン・ギョンピョ 美術:イ・ハジュン

出演者:

ソン・ガンホ(キム・ギテク) チェ・ウシク(キム・ギウ) パク・ソダム(キム・ギジョン)

チャン・へジン(チュンスク) イ・ソンギュン(パク・ドンイク) チョ・ヨジョン(ヨンギョ)

チョン・ジソ(パク・ダヘ) チョン・ヒョンジュン(パク・ダソン) 

イ・ジョンウン(ムングァン) 

登場人物

【キム家】韓国の低所得者向けの半地下住宅に住む全員失業中の家族

ギテク:キム家の主

これまでに数々の職業を経験しているがどれも長くは続いていない。

性格は温厚で楽天的ではあるが、急に感情的になる一面もある。

妻のチュンスクには頭が上がらない。

ギウ:ギテクの息子

軍役の入隊前に2度、除隊後に2度大学受験をするくらい勉強をしているが、学費面の問題から浪人を重ねている。

性格は弱気気味な好青年に見えるが頭が回る為、時に狡猾で要領の良い一面も垣間見える。

友人のミニョクからの紹介で、パク家の娘の英語家庭教師を務めることになる。

ギジョン:ギテクの娘でギウの妹

美大を目指すが学費面の問題で、浪人生活を送っている。

パク家への面接の為に、ギウの学生身分証明書をネットカフェで偽造するほどのパソコンやデザインの技術力を持つ。

性格は短気で口が悪い。兄同様に咄嗟の判断と準備で機転の利いた行動をとれる。

チュンスク:ギテクの妻

元ハンマー投げのメダリスト。

性格は男勝りでガサツな面もあるが、家事の能力は高く行動力や頭の回転も速い。

【パク家】高台の大豪邸に住む富裕層の家族

ドンイク:IT企業の社長でパク家の主

一見神経質そうに見えるが他者の欠点を直接論したり咎める事もない寛容な性格。

匂いに敏感で「度を越す人間が大嫌い」という程、節度を重んじ人との境界線はハッキリとつけておきたいタイプ。

ヨンギョ:ドンイクの妻

美人でやや天然気味な性格で、人に騙されやすく能天気。

海外かぶれなのか外国の高級な製品を好み。会話の最中に唐突にオーバーな発音の英語を挟む独特な話方をする。

ダヘ:ドンイクの娘

高校2年生で受験勉強中。

授業を受けるうちにギウに好意を寄せるが、ギウの前の家庭教師でもあるミニョクからも好意を持たれるなど小悪魔的な面を持つ。

数年前からダソンの奇行が演技である事を見抜いており、両親がダソンばかりを贔屓することに不満を持っている。

ダソン:ドンイクの息子

幼く落ち着きのない性格で、自由奔放はしゃいでいるが人目の付かない所では暗い表情で周囲を俯瞰して見る一面もある。

カブスカウトの先生の影響で、去年からインディアンごっこにハマっており邸宅内で弓矢を打ったりテントを張って過ごしたりしている。

ムングァン:パク家の家政婦

パク家が豪邸に入居する前の家主(この家を手掛けた建築家)の頃から働いている家政婦で、前の家主からの紹介でパク家でも住み込みで働くようになった。

料理上手で、ドンイクからも家政婦の能力を高く評価されている。

あらすじ

韓国の低所得者が居住する半地下住宅に住むキム一家は、近所のピザ屋の宅配箱を組み立てる低賃金の内職をしながらなんとか食いつないでいる全員失業中の貧乏一家。

長男のギウや長女のギジョンは、大学に受かる能力はあるのに学費面の問題で未だに浪人生活を強いられている。

ある時、ギウの友人で名門大学に通う青年ミニョクが、富をもたらす山水景石という石を持って訪問

「自分が留学する間悪い虫がつかない様に、自分が家庭教師として教えている富裕層の女子高生の家庭教師を自分の代わりにやってくれないか?」とギウに提案してくる。

浪人中のギウは「自分には資格がない」と最初はためらうが、高収入なバイトでまたとないチャンスなので仕事を受けることにした。

学生としての身分証明書を妹のギウに偽造して貰い、見事家庭教師としての権利を得たギウは自分の家族にもこの恩恵を与えたいと考え始めるのだが・・・

感想

この映画のテーマとなっているのが韓国が抱えている一つの問題「格差社会」です。

韓国では1970年代に、北朝鮮からの襲撃に備えるように軍事政策として新築住宅の地下に避難部屋を設置する事を義務化。

その後、人口集中の進んだソウルを中心に低所得者用の賃貸住宅として利用されるようになったという事情があります。

半地下住宅は水害をもろに受ける立地で、今までに何度も大雨などによる浸水被害で犠牲者が出ている様な劣悪な環境です。

それに引き換え富裕層は、大雨が降れば空気が澄んだといって能天気に喜ぶような眼下を見下ろす様な高台に住んでいます。

能力はあってもその日生活していくだけで精一杯の人間には、這い上がる術がない。

だから犯罪を犯しても、自分達の人生を少しでも良くしたいと思うキム一家の気持ちもわかるのです。

あまり褒められた事ではないにしても・・・(;´・ω・)

そんなどうしようもない格差社会の現実をユーモラスにそしてスリリングに描いたのが、この「パラサイト」という作品だと思います。

鑑賞し終わったあとシェイクスピアの戯曲を読んだような錯覚にも囚われる様な不思議な作品でした。

家族全員がなんらかの方法で、パク一家と関係性を築いたあとパク一家が外出中に事件が起こります。

今まで上手く事が進んでいたのに不穏な空気がジワジワと押し寄せてくる演出や大雨の日に家族がパク家から逃げ帰るシーンは、高台から下に下にドンドンドンドンと降りていく描写で撮影されていて這い上がってもここが自分達の立ち位置なんだよと言われているようでなんとも言えない絶望感や悲愴感を感じます。

半地下の自分の家に帰宅すれば下水や雨は家の中に流れ込み、家財道具は水浸し必要な物だけを抱えて避難所だある学校の体育館で雑魚寝するという惨めさ。

つい先ほどまでは大豪邸で美味しい料理や高級なお酒、フカフカの布団に清潔なお風呂

庭先で陽射しをあびながらの読書をしていたのが幻かのように・・・

避難所で寝ている時、ギウがギテクに聞きます。

「計画があると言っていたけど 父さん、これからどうするの?」

するとここでギテクの人間性を表す印象的な答えが返ってきます。

「絶対に失敗しない計画は、何だと思う?」

「無計画だ 無計画」 「なぜか?」

「計画を立てると必ず、人生その通りにいかない」

「周りを見てみろ。”今日全員が体育館に泊まろうなんて計画したと思うか?」

「でも、どうだ? 床に転がっている俺達も・・・だから、無計画な方がいい」

「計画がなければ、間違いもない」

「それに最初から計画がなければ、何が起きても関係ない」

「人を殺そうが国を売ろうが、知ったことじゃない。分かったか?」

今までの人生で何度も計画を立てその都度上手くいかず、今の状況に慣れたギテクはこういう考えに行きついてしまったんだなぁと

何も失いものがない人、自分の人生を諦めてしまった人が口にする言葉だと私は感じました。

まぁ、私もトラブルが起きるたびに、こういう諦めの思考に陥る時がありますが(笑)

そして、終局へと・・・

無計画で自分の感情に従った結果は、だいたい良い選択を選びません。

度を越すことを嫌うパク社長は、無意識で境界線を越えて来る貧困層の臭いに耐え切れず顔を背けますその姿は、ギテクにとっても自分の境界線を越えられと事と同意だった・・・

この物語の最期は、悲劇として描かれています。

しかも、鑑賞者に一度希望を持たせたあとに現実に引き戻すという手法で止めを刺してきます。

現実はそんなに甘くないよ。この格差社会はそうそう変えられるものではないよと世界や社会に問題提起しているような映画なので、これだけ全世界でヒットしたのだと思います。

ポン監督はインタビューの中で、貧困層の人間が富裕層に依存して寄生しているように見えて富裕層も貧困層の労働力に依存し寄生している姿を描きたかった。

寄生ではなく共生を目指す世界になればいいと願いを込めて作られた映画、ぜひ皆さんも

鑑賞してみてください!

 

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